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天安門事件と世論戦、法律戦



目次





 1989年6月3日から4日にかけて中国共産党に引き起こされた、人民解放軍が民主化を求める多数の人々を虐殺した天安門事件に関して、中国共産党は民主化を求める大規模なデモは米国に引き起こされた体制転換工作と考えた。

 この天安門事件以降、中国共産党は米国への反撃として、米国とその同盟国を分断し、対立させる工作活動を広範囲に、執拗に展開した。

 その最大の標的になったのが日本であり、中国共産党は、日本と米国およびその同盟国を分断して、対立させ、米国陣営から分断した日本を中国陣営に組み込んでいくことで、米国の同盟関係(米国覇権)を破壊していく策謀を展開した。

 その際中国共産党は世論戦、法律戦で以下の事柄を利用してきている。

慰安婦
 韓国において、世論戦として慰安婦の事柄で日本と日本人に対する憎悪を植え付け、扇動する。(尹貞玉による、ハンギョレ新聞の「挺身隊怨念の足跡取材記」10111213や韓国挺身隊問題対策協議会によるソウルの日本大使館前における水曜集会等)

 韓国や全米各地に慰安婦像、慰安婦の碑を設置する。

 米国やその同盟国の中国共産党の工作員である議員達やその補佐官、秘書達等による、議会工作による米国やその同盟国における慰安婦対日非難決議の採択

戦時中日本企業で働いていたと主張する朝鮮半島出身の労働者
 戦時中日本企業で働いていたと主張する朝鮮半島出身の労働者に韓国で日本企業に、法律戦として損害賠償請求訴訟を引き起こさせ、韓国大法院に賠償請求を認めさせ、日本企業の資産を差し押さえさせ、現金化させる過程で、韓国に日韓請求権協定を一方的に廃棄させる。(日韓請求権協定廃棄工作)
 日韓請求権協定を韓国に一方的に廃棄させ、日本を米国同盟から分断し、分断した日本を中国覇権に組み込んでいく。

戦時中日本の捕虜となり、日本企業に強制労働させられたなどと主張する米国人
 戦時中日本の捕虜となり、日本企業に強制労働させられたなどと主張する米国人に、法律戦として日本企業に対する巨額の損害賠償請求訴訟を引き起こさせ、世界抗日戦争史実維護連合会(世界抗日連合、The Global Allaince for Preserving the History of WW II in Asia)や同連合に協力する議員やその補佐官達を通じるなどして、連邦議会に対する議会工作を行い、連邦議会に司法省や国務省に対日講和条約の解釈変更を迫らせたり、ホワイトハウスに圧力を加えさせるなどして、米国に対日講和条約を一方的に廃棄させる。(対日講和条約廃棄工作)
 中国が米国に対日講和条約を一方的に廃棄させ、米国と対立して、米国から離れた日本を中国共産党が中国陣営に組み込んでいく。

アイリス チャンの「ザ レイプ オブ 南京」
 世界抗日連合が執筆と出版を全面的に支援し、全米の組織を動員して宣伝と販売に努めた、アイリス チャンの「ザ レイプ オブ 南京」を利用した米国における世論戦。
 「ザ レイプ オブ 南京」によって、虐殺、放火、組織的強姦、組織的略奪などがなかった、1937年12月の旧日本軍と国民政府の南京戦(南京事件)の事柄で、米国人に日本と日本人に対する憎悪を徹底的に植え付け、扇動し、米国及び米国人に日本を攻撃させ、日米を分断し、分断した日本を中国覇権に組み込んでいく工作活動(世論戦)。


 このページでは、中国共産党が米国に引き起こされたと考えている天安門事件の米国への反撃として、日本と米国及びその同盟国を対立させ、分断した日本を中国陣営に組み込んでいくために利用した世論戦、法律戦の具体的事例について述べていく。


中国共産党による、対日講和条約(米国)と日韓請求権協定(韓国)を米韓によって一方的に廃棄させるよう誘導する工作活動

 中国共産党による天安門事件への反撃としての法律戦は日本、米国、韓国で展開された(されている)が、1989年の天安門事件後、1990年代に入って韓国人、中国人を原告として戦後補償訴訟として日本で一斉に展開された。2122

 日本における法律戦は、中国共産党が人民解放軍を使って民主化を求める多数の人々を虐殺したことで国際社会から強く非難されたため、抗弁として日本で訴訟を多発させ、中国共産党が犯した民主派の虐殺に対する印象を薄め、世論を沈静化させ、さらに、被害者として中国の立場を正当化していく、という目的だったと考えられる。

 その意味で、1990年代から中国共産党が韓国人と中国人を原告として法律戦として日本で多発させた戦後補償訴訟は、米韓における訴訟(対日講和条約を米国に廃棄させるための、米国人等による日本企業に対する対日賠償請求訴訟、日韓請求権協定を韓国に廃棄させるための、戦時中の朝鮮半島出身労働者による日本企業に対する損害賠償請求訴訟)とは性質が違っていた、と考えられる。


天安門事件への反撃の一環として、中国が認めない対日講和条約を米国に一方的に廃棄させ、米国が対日講和条約後に構築した世界秩序を米国自身に廃棄させ、中国共産党の世界覇権確立に有利な新秩序を構築していくことを謀った、中国共産党の対米工作活動(法律戦)の展開

1999年7月15日 カリフォルニア州戦時強制労働補償請求時効延長法(ヘイデン法)の成立

 中国共産党の1989年の天安門事件の米国への反撃の工作活動の標的のひとつが対日講和条約であった。

 対日講和条約第14条(b)には
「連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとった行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権並びに占領の直接軍事費に関する連合国の請求権を放棄する。」とある。

 中国共産党の策謀は、大東亜戦争中に日本の捕虜となっていた米兵、イギリス兵や、韓国系アメリカ人、韓国人、中国系アメリカ人、中国人などに、日本企業に強制労働をさせられたなどとして、米国で日本企業に対して損賠賠償請求訴訟を引き起こさせ、米連邦議会への議会工作を通じるなどして、米連邦議会に米連邦政府に圧力を加えさせ、米連邦政府に対日講和条約を一方的に廃棄させ、米国が対日講和条約後に構築してきた世界秩序を米国自信に廃棄させ、中国共産党の世界覇権確立に有利な新秩序を構築していく、というものである。

 中国共産党が、中国が認めていない対日講和条約を米国に一方的に廃棄させ、米国自身に、米国が対日講和条約後に構築した世界秩序を破壊させ、中国共産党の世界覇権確立に有利な新秩序を構築する策略で利用した組織は世界抗日連合であり、利用した政治家はカリフォルニア州議会議員のトーマス へイデンとマイケル ホンダであった。

 世界抗日連合は北京や上海などの中国の都市で総会を6回も開催し、中国の対外諜報部門に多数の卒業生を送り込んでいる上海の華東政法学院で「第二次大戦賠償問題に関する国際法会議」を開催し、世界抗日連合の有力支援者である中国系アメリカ人の弁護士であるフレデリック ホンは中国人民政治協商会議の広東省委員会顧問であり、中国生まれで、2002年に世界抗日連合の会長になった中国系アメリカ人のベティ ユアンは中国の国家機関の中華全国帰国華僑連合会の顧問であり、さらに世界抗日連合傘下の南京虐殺賠償請求連合(RNRC)の代表は、北京の最高人民法院(最高裁判所) や上海の高等裁判所で法律顧問や講師として働いた経歴がある、中国系アメリカ人でサンフランシスコ地方上級裁判所の判事のリリアン シンであるなど、世界抗日連合と中国共産党、中国政府の関係は非常に密接であり、世界抗日連合は中国共産党の対米工作機関と呼べる団体である。

 2007年7月30日に米国連邦議会下院で可決した、慰安婦の事柄の対日非難決議であるHouse Resolution 121の採択でも最大の働きをしたとされるのが、この世界抗日連合である。

 民主党の連邦議会下院議員であったマイケル ホンダは世界抗日連合の発起人、役員、元会長や中国人民政治協商会議の広東省委員会顧問のフレデリック・ホンなどから政治献金を受け、ホンダがカリフォルニア州議会議員の時代に、1999年にカリフォルニア州議会で採択された対日非難決議であるAssembly Joint Resolution No. 27をホンダの事務所と世界抗日連合の構成員達が一体となって作成し、ホンダが連邦議会下院議員になってからも世界抗日連合の協力と指導を受け、米国に日本を攻撃させ、日本を米国同盟から分断し、分断した日本を中国覇権に組み込んでいくための慰安婦の事柄の対日非難決議であるHouse Resolution 121採択に中心の役割を果たすなど、中国共産党の対米工作機関の世界抗日連合の協力議員として活動した人物である。

 この世界抗日連合と、カリフォルニア州議会議員であったマイケル ホンダやトーマス ヘイデンが結託して、1999年7月15日、カリフォルニア州議会上下両院でカリフォルニア州戦時強制労働補償請求時効延長法(ヘイデン法)を成立させた。

 世界抗日連合やホンダを操る中国共産党がカリフォルニア州議会で成立させたヘイデン法は、1929年から1945年までの間に、日本企業に強制労働させられたなどと主張する米兵捕虜や中国人、韓国人などが、2010年12月31日までは日本企業を被告として損害賠償請求訴訟をカリフォルニア州の上位裁判所に提起することができる、などとするものである。

 繰り返すが、対日講和条約第14条(b)には、
「連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとった行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権並びに占領の直接軍事費に関する連合国の請求権を放棄する。」とあるが、中国共産党の策謀は、全米に日本企業に対する損害賠償請求訴訟を展開したあと、世界抗日連合などの連邦議会へのロビー工作により、連邦議会に国務省や司法省などに対日講和条約の解釈変更をするよう圧力をかけさせ、最終的に国務省や司法省に対日講和条約の解釈変更を行わせ、米国自身に対日講和条約を一方的に廃棄させ、対日講和条約後に米国が構築してきた世界秩序を米国自身に廃棄させ、中国共産党の世界覇権確立に資する新秩序を構築していく、というものである。

 1999年7月15日のカリフォルニア州議会におけるヘイデン法の成立直後から、米国で世界抗日連合と連携する米兵捕虜などによる日本企業を被告とする損害賠償請求訴訟が多発する。

 中国共産党の策謀は、米国政府に対日講和条約を一方的に廃棄させ、米国が対日講和条約後に構築してきた世界秩序を米国自身に破壊させ、中国共産党の覇権確立に資する新秩序を構築していく、というものである。

 その際に利用したのが、ユタ州選出の共和党の連邦議会上院議員だったオリン ハッチや、カリフォルニア州選出の民主党の現上院議員で、江沢民や中国共産党と関係が深く、中国のWTO加盟に重要な役割を果たすなど、中国覇権拡大の協力者であるダイアン ファインシュタイン151617であった。

 中国共産党は連邦議会上院のハッチやファインシュタインを利用して、連邦議会に日本を攻撃させる策謀を展開した。

2000年6月28日 連邦議会上院司法委員会公聴会23
 2000年6月28日に連邦議会上院の司法委員会で公聴会が開かれ、委員長のハッチは日本企業に強制労働させられたなどと主張する米国人に対して、日本企業に賠償金を支払わせるため国務省と司法省に対日講和条約を再評価するように求めた。23

S.Con.Res15814
 2000年10月31日にはハッチが発起人、ファインシュタイン151617などが共同発起人となり、上院に両院一致決議案(S.Con.Res158)を提出し、即日全会一致で採択され、当日中に下院に送られ、同年12月15日、下院においても採択された。14

 S.Con.Res15814は上下両院の考えとして、国務長官や他の適切な当局者達は、第2次世界大戦中日本企業の利益のために「奴隷労働」をさせられた米軍の元捕虜達と当該日本企業の間の全ての問題を解消するための議論を促進するために最善の努力をせよ、というものである。

 最善の努力とは、決議文の最後から2番目の段落にあるが、第2次世界大戦中、ドイツの企業の利益のために第三帝国政府(ナチスドイツ)に強制的に奴隷労働させられた個人のドイツの企業に対する賠償請求の解決を国務省が促進してきたように、日本の場合にも同様に解決を促進せよ、すなわち、対日講和条約第14条(b)の「連合国は、連合国のすべての賠償請求権、戦争の遂行中に日本国及びその国民がとった行動から生じた連合国及びその国民の他の請求権並びに占領の直接軍事費に関する連合国の請求権を放棄する。」の解釈を変更せよ、と言っているのである。

 問題は、中国共産党が天安門事件に対する反撃として、世界抗日連合やマイケル ホンダ、ダイアン ファインシュタイン、元捕虜米兵達を裏で操って米国政府や連邦議会に対日講和条約を一方的に廃棄させる中国共産党の工作活動に、米国の連邦議会上下両院の議員達がいとも簡単に協力したことである。

2001年7月18日 司法省と国務省の修正歳出法案(H.R.2500)の連邦議会下院における可決24
 2001年7月18日午後9時9分、連邦議会下院において、「原告が主張するところの、第2次世界大戦中にアメリカ人捕虜として彼、または彼女が「奴隷または強制労働に使役された」事への賠償として、いかなる日本人、または日本企業に対する民事訴訟に反対して、いかなる裁判所にも動議を提出するためにこの歳出法案の財源が司法省、または国務省によって使われてはならない」などとする司法省と国務省などの歳出法案(H.R.2500)の修正案H.Amdt.18825が賛成395(共和党192、民主党201、インディペンデント2)、反対33(共和党26、民主党7)、投票せず5(共和党3、民主党2)で可決された。26

 このH.Amdt.18825の単独発起人となったのが2019年までカリフォルニア州選出の共和党下院議員であったダナ ローラバッカーであった。

 同日、「第2次世界大戦中に米国人捕虜として「奴隷、もしくは強制労働に使役された」事に対する、いかなる日本人、または日本企業に対して賠償を求める民事訴訟に反対する動議の提出に、司法省と国務省がこの歳出法の財源を使用することを禁じる」などとするSec. 623 (4)が挿入された司法省と国務省の修正歳出法案(H.R.2500)が連邦議会下院を通過した。24

2001年9月10日 司法省と国務省の歳出法案(H.R.2500)の修正案(S.Amdt.1538)の連邦議会上院の通過27
 一方連邦議会上院では2001年9月10日、H.Amdt.18825と全く同じ文章の、「原告が主張するところの、第2次世界大戦中にアメリカ人捕虜として彼、または彼女が「奴隷または強制労働に使役された」事への賠償として、いかなる日本人、または日本企業に対する民事訴訟に反対して、いかなる裁判所にも動議を提出するためにこの歳出法案の財源が司法省、または国務省によって使われてはならない」などとする(H.R.2500)の修正案(S.Amdt.1538)が上院を通過した。27

 なお、オクラホマ州選出の共和党の現職上院議員で、上院軍事委員会のジェームズ インホフ委員長がS.Amdt.1538の共同発起人に名を連ねていた。27

 S.Amdt.153827により、「原告が主張するところの、第2次世界大戦中にアメリカ人捕虜として彼、または彼女が「奴隷、または強制労働に使役された」事に対する賠償をいかなる日本人、または日本企業に対して求める民事訴訟に反対して、動議をいかなる裁判所にも提出する事に、司法省と国務省がこの歳出法案の財源を使うことを禁ずる」などとする(Sec. 623)が挿入された修正歳出法案(H.R.2500)が2001年9月13日に連邦議会上院を通過した。28

 ここに、米国が第二次世界大戦後の世界秩序を構築する土台となった対日講和条約が、中国共産党の策謀により、米国自身の手によって廃棄寸前にまで追い込まれたが、2001年9月11日に発生した米国の同時多発テロによって、一発逆転で維持されることとなった。

 911はそのために引き起こされた、と言える。


 中国共産党が米国に日本を攻撃させ、分断した日本を中国共産党が中国覇権に組み込んでいくための工作は、安倍政権のもと、日本を中国覇権の協力国にしていくための、財務省の対中協力官僚による3兆4千億円の日中通貨スワップ協定の締結29や、首相官邸の安倍晋三を含む対中協力者による習近平の国賓来日推進、一帯一路への協力などによって展開されていたのは確かである。

 加えて、日中の戦略的互恵関係の構築を宣言し30、中国海警局の尖閣諸島における対日軍事威嚇が継続している状況で、「完全に正常な軌道へと戻った日中関係を新たな段階へと押し上げていく」などと押し通した31のも安倍晋三であり、結果を見ると、安倍は中国覇権拡大の協力者であった、と言える。

 安倍こそ、国政と保守派を中国共産党に有利になるように誘導するための、保守派の衣をまとった中国覇権拡大の協力者であった、と言える。

 中国共産党の策謀として、左派の国会議員や報道機関、出版社、言論人(記者、学者、評論家等)、市民団体などは親中傾向があり、中国覇権拡大の手駒とするのは容易であるが、保守派の国会議員、報道機関、言論人(記者、学者、評論家等)、市民団体等に保守派の衣をまとった中国覇権拡大の協力者を浸透させることができれば、左派も右派も含めた日本全体を中国覇権に組み込んでいくことが可能になる。

 保守派の安倍晋三が首相になれば、日本の左派、中道派は無論のこと、安倍を通じて保守派も誘導して、日中を戦略的互恵関係にさせ30、米国による対中制裁の安全網として日中通貨スワップ協定を締結させ29、中国覇権を拡大するための一帯一路に協力させ、中国がウイグル人に強制収容所で人権蹂躙を働き、香港国家安全維持法で香港の民主派を弾圧していても、習近平を国賓来日させることができる、ということである。

 なぜそのようになったのかは不明であるが、安倍晋三は信条からくる対中協力者である。

 安倍晋三の首相としての使命は、第一次内閣から第三次内閣を通じて、日本の左派、中道派は無論のこと、右派も誘導して、日本全体を中国覇権拡大の協力国にしていくことであった。

 なお、安倍は政治家としては元々中国覇権拡大の協力者であるが、安倍の対中接近、対ロ接近を加速させたのは、中国海警局や人民解放軍などの対日軍事威嚇を利用してTPP(日米貿易協定)を強引に推し進めた米国に対する強い反感である。

 安倍の対米姿勢は面従腹背の性質を有していた、と言える。

 日本政府中枢の政治家や官僚には、中国の対日軍事威嚇を利用してTPP(日米貿易協定)を強引に押し付けた米国に対する根強い反感(反米感情)が存在してるのは確かであり、米国の対応次第では対中接近、対ロ接近が日本の国政の中長期的流れになっていく可能性はある。(日本政府中枢の政治家や官僚などには、米国政府、連邦議会、報道機関の共謀による、米国の自動車産業を助けるためのブリジストン、タカタ、トヨタ自動車等の日本企業に対する司法ファシズムやネガティブキャンペーニングのような日本叩きに対する米国への怒りや不信があり、このような怒りや不信(外交や安全保障分野にもある)が日本政府の対中接近、対ロ接近を加速させる要因になっている。)

 つまり、現在米国が日本に対中共闘を呼びかけても、中国抑止が終結すれば、米国は自国の自動車覇権を確保するために、日本の自動車産業に対する連邦政府、連邦議会、報道機関がグルになった司法ファシズム、ネガティブキャンペーニングのような日本叩きをすぐに再開してくるであろう、という冷めた考えが存在しているのは確か。

 米国の連邦政府や連邦議会には敵と味方を見間違う、勘違いする、という性質がフランクリン ルーズベルト政権からオバーマ政権まで存在してきたが、同盟国を同盟国として扱わない、という性質も有していて、中国の脅威に気がつく前に散々同盟国にめちゃくちゃやってきた米国が、いざ危機になって同盟国に協力を求めたが遠心力が強くなっていた、というのは当然といえば当然の結果。

 中国共産党は日本の国会の与野党、財務省や外務省、経済産業省などの中央省庁、地方自治体(首長や職員として。沖縄県知事など。)、地方議会(沖縄県議会や、米海兵隊普天間飛行場移設先の名護市議会、陸上自衛隊配備予定地の石垣市議会など)、新聞社(琉球新報、沖縄タイムス、朝日新聞社など)、テレビ局(NHK)などの報道機関、雑誌を発行する出版社、大学、市民団体、労働組合など広範に中国覇権拡大の工作員や協力者を浸透させている。

 記者、評論家、学者にも中国覇権拡大の工作員、協力者が複数いて、これらの工作員、協力者達は世論戦としてテレビ、新聞、雑誌、ネットメディア等で中国共産党擁護、中国覇権拡大を促進するための世論を日本に根付かせることを謀り、宣伝活動していると考えられる。(現代の尾崎秀実)

 与野党の国会議員には中国からの活動費の提供、接待(旅費や飲食費の負担、性接待)、贈答品の贈与、親族や関係が深い企業への便宜、利益供与等によって、中国覇権拡大の協力者となっている工作員議員が多数いると考えられる。

 保守派の議員や言論人(記者、学者、評論家等)とされる人物達の中にも、保守派の衣をまとった中国覇権拡大の協力者が複数浸透していて、中国共産党はそれらの工作員議員や工作員言論人を利用して、保守派を中国覇権拡大に有利にする方向に誘導することも謀っている、と考えられる。

 保守派は保守派の衣をまとった中国覇権拡大のための工作員議員、工作員記者、評論家等の主張、活動に関して客観的な分析、評価が必要である。

 特に政治家に関しては、その政治家がどのような結果を作り出したか(作り出そうとしているか)という観点からの評価が不可欠になる。

 日本の大学や新聞などの報道機関への中国覇権拡大の協力者、中国共産党の工作員の浸透は広範で、また大学や報道機関は中国にとって工作員の浸透が非常に容易な領域であった、と考えられる。

 中国共産党は新聞社の記者たちを対中協力者、または工作員に仕立て上げ、工作員記者達を新聞社の幹部に上り詰めさせ、または幹部達を工作員に仕立て上げ、同類の工作員達を新聞社に多数集めて新聞社を乗っ取り、新聞社を中国共産党の宣伝媒体にする。(反客為主33

 この様に新聞社を乗っ取った中国共産党は、媒体である新聞紙面を使って日々、中国共産党の世界覇権確立に資する言論を紙面に乗せ続け、世論戦を展開する。

 このような新聞社を始めとする報道機関の中国共産党の工作員記者を補佐官として首相官邸に招き入れるとしたら、工作員に安全保障・外交に関わる極秘情報の取得や、それらの分野の政策誘導を許すことになり、国家が非常に危険な状況に誘導されていくことになる。(近衛文麿にとってのソ連のスパイの朝日新聞記者だった尾崎秀実)

 繰り返すが、中国共産党にとって、大学や新聞社などの報道機関は工作員の浸透が非常に容易な領域であり、この領域に限らず、政府中枢へ人材を登用する際には、セキュリティクリアランスを徹底する必要がある、と断言できる。

 特に、大学の学者や新聞社や通信社などの報道機関の記者を補佐官、側近として首相官邸に採用する際には、的確なセキュリティクリアランスが不可欠。(繰り返すが、中国共産党による中国制覇を助けるために、日本と蒋介石政権の戦争(日中戦争)を扇動した32、近衛文麿の側近の朝日新聞記者だった尾崎秀実の例がある。)

 日本の敵性国家の情報機関にとって、日本の首相や閣僚、国会議員、中央省庁の官僚、警察庁、検察庁、防衛省・自衛隊の幹部、経済界の要人などと頻繁に接触し、セキュリティクリアランスがない日本において高度な情報を上記人物達と「共有」することが可能で、敵性国家を含む外国に特派員などとして派遣されてくる日本の新聞社や通信者の記者達は、日本の権力中枢への豊富な人脈網と情報網を有した極めて有用な「諜報員」であり、工作員にする格好の標的となっていると考えられる。

 工作員にした記者を首相官邸に首相側近として浸透させたり(尾崎秀実)、国会議員や自治体の首長にできれば、国政や地方自治体の行政を誘導していくことが可能となる。

 新聞社や通信者の記者達が、中ロの情報機関や、国内の様々な勢力のスパイとして、情報収集や政策誘導を試みている可能性は常に考えておいたほうがいい。

記者達を利用したスパイ活動の例として、以下のものが考えられる。

 中国やロシアの情報機関が日本の記者を工作員にし、首相、閣僚、政府高官、議員、自治体首長等から取材で得た情報(それらの標的の自宅住所、自宅や携帯電話の電話番号、家族構成、持病、通院先、通院歴、日課、趣味、交友関係などの情報は当然報告される。)や、セキュリティクリアランスがないために「共有」された高度な情報等を報告させる。

 また、工作員記者が首相、閣僚、議員、自治体首長等の側近となった場合は、中ロに有利になるように政策や議員活動を誘導する。

 米海兵隊普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する運動を支持する記者が、またはその同僚記者が外務省、防衛省・自衛隊や警察庁、沖縄県警等の幹部等から取材で得た情報を反対運動の活動家に提供する。

 記者が警察や検察などの捜査機関の幹部等から取材で得た捜査情報を捜査対象となっている個人、団体等に渡す。またはその逆に、記者が捜査対象となっている個人、団体等に取材と称して接近し、その「取材」で得た情報を捜査機関に渡す。

 訴訟の原告、被告双方を取材できる立場の記者が、訴訟で一方を有利にするために、取材で得た訴訟相手の情報を一方に提供する。

 様々な選挙の際に、候補者達を取材できる立場の記者が、特定の候補者を勝たせるため、取材で得た他の候補者やその陣営の情報を特定の候補者やその陣営に提供する。

 女性記者が標的とした男を取材を口実に酒を出す店等に誘い出し、男に酒を飲ませるなどして性的な言動をとらせ、その状況を隠し撮りで録音、録画するなどして、その男に取材の際に性的嫌がらせを受けたなどとして、その男を社会的に追い落とす。(くノ一)

 保守派の衣を被った中国共産党の工作員も存在する。

 中国共産党の工作員である学者達や記者達などは「琉球民族による沖縄独立」、「慰安婦は日本軍によって強制連行され、性奴隷にされた」、「日本の敵基地攻撃能力保有反対。専守防衛の維持。軍国主義反対。」、「集団的自衛権の行使反対」、「米海兵隊普天間飛行場の辺野古移設反対」、「在沖縄米軍撤退。宮古島や石垣島への自衛隊基地設置反対」などの中国覇権拡大に資する宣伝を「学問の自由」や「報道の自由」を盾に正当化する。

 中国共産党の世界覇権確立のための宣伝と、学問や報道は全く違うものであり、中国共産党の世界覇権確立のための宣伝に学問の自由や報道の自由は適用されない。

 中国共産党は沖縄独立を扇動して、日本に危険な内戦を引き起こす扇動を行っているのであり、娼婦であった慰安婦の事柄で、「日本が慰安婦を強制連行して性奴隷にした」などという捏造された物語で、韓国人や米国人に、日本と日本人に対する憎悪を植え付け、扇動し、日米韓を対立させ分断し、米国の同盟関係を解体することを謀っているのであり、在沖縄米軍を撤退させ、宮古島や石垣島に自衛隊基地を設置させずに、沖縄県の防御を脆弱にした上で、宮古諸島、八重山諸島、尖閣諸島、さらに沖縄県全体を併合することを謀っているのであり、これらの中国共産党の宣伝は学問や報道たり得ない。

 中国共産党や人民解放軍は、人民解放軍の軍事技術に転用、応用可能な日本の先端科学、先端技術を盗むため、多数の研究者、技術者、留学生を中国から日本の大学や企業に送りこんできている、と考えられ、安全保障や防諜の概念からもこちらのほうが極めて重大な問題である。

 中国に、人民解放軍の軍事技術に転用、応用可能な先端科学、先端技術を習得させるための「学問の自由」を日本の大学、研究機関や日中の共同研究等で提供するのは狂気である。


参考文献



中国ロビーは何を狙っているか
慰安婦決議の次はサンフランシスコ講和条約の解釈変更だ
江崎道朗
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中韓「反日ロビー」の実像
いまアメリカで何が起きているのか
古森義久
PHP 2013年
第3章
日米離反を画策する「抗日連合会」
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歴史問題Q&A 関連資料
サンフランシスコ平和条約の関連条項
平成27年9月18日
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マイク・ホンダの正体を暴く
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未来
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6-10頁


12
挺身隊(朝鮮人従軍慰安婦)取材記 (三)
尹貞玉、山下英愛
未来
1991年7月号 No. 298
15-19頁


13
挺身隊(朝鮮人従軍慰安婦)取材記 (四・完)
尹貞玉、山下英愛
未来
1991年8月号 No. 299
17-20頁


14
S.Con.Res.158
106th Congress (1999-2000)
Congress.gov



15
米上院議員の重鎮、補佐官は中国スパイ 江沢民氏と深い繋がり
2018年08月17日 11時29分
Trevor Loudon、Zachary Stieber
大紀元時報



16
All Signs Point To One Man As Chinese Spy In Feinstein’s Staff, And He Wasn’t A Driver
Peter Hasson
Daily Caller
August 06, 2018 7:09 PM ET

(以下の解説は、別の引用がない限り上記記事に基づく)

 ダイアン ファインシュタインは中国系米国人のラッセル ロウという中国の工作員(スパイ)を自らのサンフランシスコ事務所で20年雇っていたことが明らかになっている。

 重要な点は、ファインシュタインは中国共産党が1989年の天安門事件への反撃として、日本と米国およびその同盟国を対立させ、分断する世論戦と法律戦を開始した後の、1993年頃よりロウを雇っていたということであり、中国共産党が米国の連邦議会を利用して、米国政府による対日講和条約の一方的廃棄を誘導しようと謀っていた時期にあたる、ファインシュタインが共同発起人としてS.Con.Res158を2000年10月31日に上院に提出した時14にもロウはファインシュタインに雇われていた、ということである。

 ロウはファインシュタインの給与支払い名簿には、2013年に事務所長と記載されていて、ファインシュタインのための中国領事として奉仕していた、とされている。

 ファインシュタインの事務所長で、ファインシュタインに中国領事として奉仕していた議員補佐官のロウがS.Con.Res158採択14に影響力を行使した可能性は高い。

 ポリティコ マガジンによれば、ロウは中国のサンフランシスコ領事館の領事館員に動かされていて、中国の国家安全部に政治に関する情報を報告していたとされ16、米国における日米分断の世論戦、法律戦には国家安全部の関与が考えられる。

 ロウは機密情報を盗むスパイというより、ファインシュタインを通じて連邦議会や米国社会に日米分断を工作する工作員であった、と考えられる。

 中国共産党は韓国系アメリカ人カリフォルニアフォーラム(Korean American Forum of California, KAFC)と慰安婦正義連合(Comfort Women Justice Coalition, CWJC)を利用し、米国のカリフォルニア州の高校生の教育課程で高校生に、慰安婦は日本軍によって強制的に性的サービスをさせられた性奴隷である、などとする捏造された歴史を教え込んで洗脳していく、教育による世論戦を展開している。

 韓国系アメリカ人カリフォルニアフォーラムのウェブサイトによると、2015年から2016年にかけて、カリフォルニア州全域の住民がカリフォルニア州教育委員会(California State Board of Education)に、カリフォルニア州の公立高校の教育課程に、日本の軍性奴隷(慰安婦)の問題を含むように運動した、としている。18

 2016年7月14日に、カリフォルニア州教育委員会は、日本の高校1年に相当するGrade 10の歴史と社会科学の指導指針(慰安婦の記述を含む)を認めた。19

 この指導指針の中で、「慰安婦」は第二次世界大戦前、大戦中に、日本軍が占領した地域で、日本軍に強制的に性的サービスをさせられた女性達を表す婉曲語であり、慰安婦は制度化された性奴隷の例である、などと教えることができるとされ、慰安婦の推定総数は様々であるが、大多数の人は、日本の占領中、何百、何千の女性達が強制的に性的サービスをさせられた、制度化された性奴隷の状況に置かれていた、と主張している、などどしている。19

 2018年3月からサンフランシスコ教育統合区で慰安婦の捏造された歴史をGrade 10の学生達に植え付けていく(教育に携わる)のがマイケル ホンダであり、その講義教材を開発しているのが、ラッセル ロウが事務局長を務める社会正義教育財団である。20

 中国共産党の策謀は、米国人に未成年のうちから教育課程で慰安婦の捏造された歴史で日本や日本人に対する憎悪を植え付けていき、それらの学生達が大人になって議員や政府機関職員等になった後、慰安婦の事柄で日本を攻撃させ、日本を米国人自身に米国の同盟から分断させ、分断した日本を中国覇権に組み込んでいく、というものである。


17
How Silicon Valley Became a Den of Spies
The West Coast is a growing target of foreign espionage. And it’s not ready to fight back.
By ZACH DORFMAN July 27, 2018
Politico Magazine



18
Comfort Women Education


19
The History–Social Science Framework for California Public Schools, Kindergarten Through Grade Twelve
California Department of Education



20
[インタビュー]「慰安婦の真実を知らせる、それが正義だから」
ハン・スンドン、チョ・ヘジョン
2017-10-26 13:22
ハンギョレ



21
戦後補償に関する訴訟一覧
調査と情報
1999年11月26日 第323号
1-31頁


22
戦後補償訴訟における元徴用工問題と日韓関係
出石 直
現代韓国朝鮮研究
2015年11月 第15号
30-50頁



23
S. Hrg. 106-585 - FORMER U.S. WORLD WAR II POW'S: A STRUGGLE FOR JUSTICE
govinfo



24
H.R.2500 - Departments of Commerce, Justice, and State, the Judiciary, and Related Agencies Appropriations Act, 2002
107th Congress (2001-2002)
Congress.gov



25
H.Amdt.188 to H.R.2500
107th Congress (2001-2002)
Congress.gov



26
FINAL VOTE RESULTS FOR ROLL CALL 243
H R 2500 RECORDED VOTE 18-Jul-2001 9:09 PM
AUTHOR(S): Rohrabacher of California Amendment
QUESTION: On Agreeing to the Amendment



27
S.Amdt.1538 to H.R.2500
107th Congress (2001-2002)
Congress.gov



28
H.R.2500 - Departments of Commerce, Justice, and State, the Judiciary, and Related Agencies Appropriations Act, 2002
107th Congress (2001-2002)
Congress.gov



29
安倍総理の訪中(全体概要)
2018年10月26日
外務省



30
日中共同プレス発表
平成18年10月8日
外務省



31
参議院予算委員会
2019年3月6日



32
 ソ連のスパイの尾崎秀実による日中戦争の扇動には以下のものがある。

尾崎秀実時評集 日中戦争期の東アジア
米谷匡史編
平凡社
153-170頁
「長期抗戦の行方」
『改造』1938年5月号

 『だが戦に感傷は禁物である。目前日本国民が与へられてゐる唯一の道は戦に勝つといふことだけである。その他に絶対に行く道はないといふことは間違ひの無いことである。
 「前進! 前進!」その声は絶えず呼び続けられねばなるまい。(153頁)

 今となつてはどこまでも全力を傾けて目的を達するところまで行かねば立ち停ることの出来ない事情にあるのである。(154頁)

 ところで我々の考へるところではこの日支事変は何よりも深いところで日本の生存と直接に結びついて居り、しかも全力を傾けつくしてしかも長い忍耐の期間を要する困難な問題であると考へるのである。(157頁)』

 日中戦争は日本と蒋介石政権を戦わせ、日本軍に蒋介石政権を弱体化させ、弱体化した蒋介石政権を中国共産党が殲滅し、中国を共産化するソ連と中国共産党の策謀だったのであり、尾崎はその日中戦争を「日本の生存と直接に結びついて居り」(157頁)、「どこまでも全力を傾けて目的を達するところまで行かねば立ち停ることの出来ない」(154頁)ものであり、「目前日本国民が与へられてゐる唯一の道は戦に勝つといふことだけである。その他に絶対に行く道はな」(153頁)く、「前進! 前進!」(153頁)などと扇動している。

現代支那批判
尾崎秀実著
中央公論社 1938年11月20日発行
国立国会図書館デジタルコレクション

201-217頁
「長期戦下の諸問題」

 「今後日本の進むべき道は結局勝つためにまっしぐらに進む以外はないであろう。戦に勝つ上において日本が絶対に自信を持つところは、その軍事行動をすすめるということだけである。軍事行動そのものの遂行が幾多重大なる国民的負担の犠牲を要するとか、軍事行動の遂行には相当の時間を要するとか、軍事行動によってもたらされる成功には限度があるとか、種々の条件がともなうことは確かであるが、ともかくも、軍事的成果がかなりの政治的効果を生むべきことは確かであり、かつこの軍事的力量だけは絶対に支那に優越するという意味において結局この軍事的行動が極限まで推し進められ、これの結果が政治的効果に変わることに期待がかけられることとなるのであろう。」(207頁)

 「日本は支那側の出方に応ずべく自らまた長期抗戦の姿勢をとらざるを得ないことはまさに当然であるが、それと同時にあくまで力を集中して急速に敵対勢力を粉砕するの必要があるのである。」(213頁)

 また、尾崎は日本と蒋介石政権の和平交渉の妨害による日中戦争の拡大を謀り、蒋介石政権を日本政府の交渉相手にさせないための「世論戦」も展開している。

南京政府の正体
尾崎秀実著
新日本同盟
1937年9月
国立国会図書館デジタルコレクション


 「それでは国民政府というものは非常に近代的な政府であるかということについて考えてみますと、国民政府というものはやはりいわば非常に半封建的な政府であって、そうして支那の旧軍閥の総合、軍閥官僚の総合的な政府で、そういうものを精算し切れない政府であるということは事実であろうと思います。」(16頁)

 「それから南京政府の成立、今日までの動きというものを考えてみましても、ほとんど年々戦争を続けて参りまして、去年の七月に広東の西南派勢力との戦争後、国内戦争というものはもう無くなったと申したのでありますが、とにかくそれまでの間ずっと一貫した国内戦争を続けてきているのであります。」(17頁)

 「こういう風でありまして南京政府は現在統一を完成したと言っておりますけども、一皮むけば決して完全なる統一は出来ておらないということが言えるのであります。」(18頁)

 「南京政府の性質がそれ自身一つの軍閥的なものである。」(21頁)

 尾崎はこの様に、蒋介石政権は中国を統一している政府ではなく、中国の軍閥の一つのようなものであり、日本政府が交渉をする相手としてふさわしくない、という世論を拡大することを謀っている。

 重大な点は、尾崎は近衛文麿政権で首相官邸にいた近衛文麿の側近であったということであり、尾崎の政権中枢における工作が1938年1月16日の第一次近衛声明(帝国政府ハ爾後国民政府ヲ対手トセス帝国と真ニ提携スルニ足ル新興支那政権ノ成立発展ヲ期待シ是ト両国国交ヲ調整シテ更生新支那ノ建設ニ協力セントス:帝国政府声明 1938年1月16日 国立公文書館デジタルアーカイブ)につながっていった可能性は極めて高い。

 この第一次近衛声明(帝国政府声明 1938年1月16日 国立公文書館デジタルアーカイブ)によって日本と蒋介石政権の有効な交渉が断絶し、日中戦争が長期化、泥沼化していくことになったが、この第一次近衛声明を強力に誘導したであろう尾崎は偽善的に(ソ連のスパイとしては戦術的に)以下のように和平交渉の糾弾、日中戦争の扇動を行っている。

現代支那批判
尾崎秀実著
中央公論社 1938年11月20日発行
国立国会図書館デジタルコレクション

「長期戦下の諸問題」

 「われわれは事変の初期においては、この事件の持つ重大性を予知して、両国のために速なる解決と和平の手段を発見すべきことをひそかに希う(こいねがう)たのであるが、その後事件が現在のごとき決定的な、完全なる規模に展開を見た以上、もはや中途半端な解決法というものが断じて許されないのであって、唯一の道は支那に勝つという以外にはないのである。面をふることなき全精力的な支那との闘争、これ以外に血路は断じてないのである。
 同じく東洋民族の立場から、また人道的立場から支那との提携が絶対に必要だとする主張は正しいかもしれない。しかしながら現在の瞬間においてこれを考え、これを説くことは意味をなさないのである。敵対勢力として立ち向かうものの存在する限り、これを完全に打倒し了せて後、始めてかかる方式を考うべきであろう。
 ことは深刻な民族戦争の問題なのである。虫のいい考えは棄て去って日本の踏みこんだ大陸政策の道がすこぶる困難のものであることを充分認識すべきである。
 敵対勢力を圧伏することによって「民族感情」の問題がはたして解決するものであるかどうか、それは容易にいい難いことである。しかしともかく甘い考えや、虫のいい考えが許されざるべき余地のないのは疑うべくもないのである。」(205-206頁)


33
秘本兵法三十六計
和田武司 訳 大橋武夫 解説
徳間書店 1981年

第三十計 反客為主(主客転倒) 213-218
 敵国の国家機関(情報機関)などに、贈賄や利益供与等で協力者にした有力者や、二重スパイ(反間34)を送り込み、それらの機関の外交、通商、安全保障などの政策を乗っ取ること。

 米国では歴代政権のホワイトハウス、国務省、政党、大学などがこの策略で中国共産党に乗っ取られてきたと言える。

 反客為主で主客転倒するには、「第一歩で客の座をかちとり、第二歩で油断につけいり、第三歩で足をふみいれ、第四歩で大権を掌握し、第五で主人に変わることだ。」としている。


34
新訂 孫子
金谷治 訳注
岩波文庫 2000年
用間篇
174-185

 孫子の用間篇では、間諜には郷間(敵国の市民をスパイとして利用)、内間(敵国の国家機関の官僚を協力者として利用)、反間(敵国の情報機関及びそのスパイを利用)、死間(偽の情報を敵国で広め、敵国を撹乱する工作員)、生間(本国に帰ってきて、報告するスパイ)の5通りがあると述べられている。

 用間篇では、間諜が全軍の中で最も権力中枢に近く、最も報酬が高く、最も秘密を要する、としていて、国家内におけるスパイの地位を非常に高く捉えている。

 ~しかし、この構造だと、権力中枢に存在している間諜の権力が拡大し、間諜が体制を強く統制する状態になったり、敵国と密通していた場合、敵国の反間となって君主を敵国のために統制する危険性が高い。~

 用間篇では、5つの間諜のうち反間によって敵情を知ることができ、郷間、内間、死間、生間を機能させることができるのであり、スパイ活動の元であるから、反間は是非とも厚遇すべき、としている。







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